クライマーズ・ハイ

クライマーズ・ハイ見た。カミカゼタクシー、金融腐食列島、突入せよあさま山荘事件、の巨匠・原田眞人監督だから外れではないと思ったが本当に外れではなかった。面白い。この夏超オススメの邦画。

例の、日航123便事故(御巣鷹山)を巡る展開だが、どちらかというと飛行機事故の話というよりは新聞社というメディアの内幕を巡るどろどろとした現場の人間群像。原田監督は、こういう「組織内の確執」を描くと天下一である。

「なんだか話ができすぎているなぁ」という台詞の通り、123便事故の原因が金属疲労による圧力隔壁の破損という事故調の公式発表には懐疑的なタッチである。例の、急減圧はあった&なかった派である。じゃあ本当は何が原因なのか、というオリバー・ストーンJFKのような話にはならないし、関係者も生存しているので憶測で映画を作れないという立場もあるのだろうが、戦後最大の事件であることは間違いない。イケメンおじさん堤真一皆川猿時の怪演が兎に角すごくてワラタ。皆川猿時さんって大人計画の人なんだ…。この人はスゲエ!!ガムをくちゃくちゃ噛みながら舐めまわす様な目で「ボウヤぁ」「毎日戦争なんだよぉ!はン?」最高だよ!!!原田監督は凄いなぁヤクザな新聞屋の販売部長に最適だよ。ファンになった。TBSのラジオ聞こうっと。兎に角自信をもってオススメしたい映画。ちなみに、劇中に頻繁に登場する「大久保・連赤」とは、群馬県内で起こった連続猟奇殺害事件である大久保清事件と、連合赤軍によるいわゆる”山岳ベース事件”(群馬県内での同志集団リンチ事件、とどのつまり内ゲバ)の二つであるという。無論私は生まれてもいないし、精子ですらない。若い人向けにちょっと脚注が欲しかったかもしれない。

 そんで、なんか映画見た後でムラムラしたのでノンフィクション作家・吉岡忍氏の名著「墜落の夏」(新潮文庫)を深夜に渋谷の山下書店まで行って購入、一気に読了した。うーん、やっぱ「落合証言」を読む限り減圧はあったけれども急減圧は?だなぁ。まして後部隔壁破壊→急減圧によって客室空気が噴出→垂直尾翼の破壊というシナリオは説得力がない。航空力学には素人だが、この123便の事故調の結論を再現実験した人っているの?若しくは事故調は再現実験したことあるの?今、こんだけCGとスーパーコンピューターで解析技術があるんだから、全く同じ条件で垂直尾翼が破壊されるかどうか、再現してみたらいいのに。再現性があるなら事故調の結論も納得できるけど、ないんなら520人の遺族は納得できないだろうな。かといって渡辺文樹氏が自主映画にしたように、自衛隊機に撃墜されたとかオカルトである。しかし、ファイヤー・ビーだの何らかの物体による外部からの尾翼の破壊説というのが未だに消えないのは、ひとえに事故調の結論に矛盾点が多すぎるからであろう。真相が究明される夏は来るのだろうか。

☆『太田豚一の戦闘的漫評』が面白ければクリックを!↓↓

banner_02.gif